当JAそうま地区の南相馬市内で震災後から、タマネギ産地化による農地復興を目指す取り組みが進んでいます。取り組みの起案者である(株)豊福ファームの豊田雅夫さんは「タマネギは通年を通して需要が高く、また農作物の中で最も放射性物質を吸収しない性質がある。南相馬はタマネギで復興できる」と話します。紆余曲折ありましたが、ようやく今日、本格的な市場出荷の日を迎えることができ、10tを京浜と県内の市場に出荷しました。
豊田さんは元々、東京で農業経営コンサルタントとして働いていました。震災後、南相馬土地改良区から復興アドバイサーの依頼を受け、平成23年に初めて南相馬に訪れました。翌年の秋、調査や研究からタマネギ産地化による復興の可能性を見出し、市に相談。翌年から賛同した農家やJAなどが試験栽培を開始しました。
3年間続いた試験栽培で着実に成果が見え始めていた矢先、最も大規模な栽培面積があった農家が、他の作物や経営の兼ね合いから大規模生産を断念することになりました。取り組みを進める中で大きな痛手となりましたが、コンサルタントとして関わる中で農業の大変さや難しさを感じていた豊田さんは「成果を証明するためにも自分でタマネギを作ろう」と決意。平成27年から大規模産地がある北海道や長崎を訪れタマネギ生産を一から勉強しました。そして平成28年から南相馬市に移住し、翌年の出荷を目指して作付を開始。今年3月には法人化もして、現在3haの規模でタマネギを生産しています。
出荷前日の27日に当JAの大田購買倉庫で選別と箱詰め作業を行った豊田さんは「南相馬市の気候は7月に収穫する作型が可能。この時期は出荷産地が少ないのでこのメリットを生かしたい。規模も25haまで拡大したい」と意欲を述べました。