飯舘村で避難指示解除後に村内で畜産を再開した佐藤一郎さん(61)は、震災前より繁殖を中心に飯舘牛を飼育、出荷しており、現在繁殖牛63頭、肥育牛2頭を飼育しています。
佐藤さんは、原発事故後、福島県相馬市に避難する際に、和牛15頭を連れて避難。避難先で和牛を40頭まで増頭して帰村しました。帰村後、生業としていた繁殖を続ける傍ら、肥育牛2頭を試験的に飼育してきました。
2021年4月には帰村した繁殖農家10戸で和牛改良組合飯舘支部を設立し、佐藤さんが支部長として就任。長年の取り組みの結果が実り、佐藤さんの飯舘牛は今年の4月に初出荷し、肉質は最高級のA5ランクの評価を受けました。
また、5月21日には「いいたて村の道の駅までい館」で震災後初めての販売を迎え、サーロインやリブロースなど120パックを販売し、30分程で完売する人気ぶりでした。佐藤さんは「今後も村全体で連携して飯舘牛を販売する機会を作り、たくさんの方々に飯舘に来てもらいたい」と語りました。
飯舘牛がブランド牛として復活するための今後の課題として、肥育農家がいないこと、震災後から加工施設がなくなってしまったことが挙げられます。村の支援などを受けながら肥育にも関心を持ってもらえるような取り組みが必要です。今後、村と連携しながらさらに肥育の素牛となる飯舘牛の飼育頭数を増やし、飯舘牛を市場に流通させる仕組みをつくることがブランド牛復活のカギとなります。