当JAは、県内で初めて家畜改良事業団の和牛の能力をゲノム(遺伝子)の違いで評価する、ゲノミック評価を導入します。従来の育種価に比べ、子牛段階で能力が分かり、和牛改良に活用できます。
枝肉重量やロース芯面積、脂肪交雑(BMS)など6形質の評価には、育種価が用いられてきたが、判明するまでに5年以上の時間を必要でした。これに対してゲノミック評価は、尾房の毛根(100本程度)で1ヶ月半ほどで数値化されます。また、両親が同じ産子(全兄弟)であっても個体ごとの能力を調べることも可能。牛群の改良の加速化と繁殖計画の効率化が期待されます。
初検査では、JA管内の母牛・子牛合わせて48頭の毛根を同事業団に送りました。ゲノミック評価の結果により、雌牛の弱点を補う能力を持つ種雄牛を種付けしたり、優秀な子牛は繁殖雌牛として保留するなどして、全体的な能力評価の底上げをしていきます。
二本松市で繁殖雌牛30頭を飼養する佐久間寿一さん(63)と繁殖雌牛50頭を飼養する斎藤正剛さん(59)は、ともに地域一環の産地化を目指しています。斎藤さんは「5年、10年先を見据えて、若い人達の為にもゲノミック評価を確立させたい」と意気込みます。ゲノミック評価は検査頭数が多ければ多いほど信頼度が高くなります。JAや行政は、2020年度から検査費の一部を助成して、県内の検査頭数を増やすとともに生産者の所得増大を目指します。