NTTグループ当JAなどが行う、準天頂衛星みちびきに対応したドローン(小型無人飛行機)を使用する新たなスマート農業の実証プロジェクトを11日、農林水産省の別所智博農林水産技術会議事務局長ら関係者約30人が視察しました。
自動飛行ドローンは一般的にGPS測位が用いられています。しかし、日本の耕地面積の約40%を占める中山間地域の農場では、マルチパスなどによる測位誤差が生じることが懸念されています。一方、準天頂衛星みちびきのサブメータ級測位を活用することで、誤差を1㍍ほどに抑えることができます。ドローンによる撮影や人工知能(AI)による画像解析で生育診断、適期の追肥や病害虫診断、予測など、SDGsの実現に向けて、低負荷抵コストで持続可能な中山間地域での営農活動の実現を目指します。
同プロジェクトは、JAやNTTグループなど15企業・団体が取り組んでおり、JAは営農支援プラットフォーム「あい作」を活用した営農支援を行います。
実証は、南相馬市同市原町区鶴谷地区で2018年に水稲を再開した農業法人アグリ鶴谷の水田で、県オリジナル品種「天のつぶ」を16ha栽培し、収量30%増と品質向上を目指します。アグリ鶴谷の清信眞一代表取締役は「新しいスマート農業を確立して、若い人に農業の魅力や担い手の見本になれればいい」と意気込みます。
視察では、同市の営農状況やNTTグループの取り組みなどについて担当者が説明。JAの取り組みについては、濱田賢次専務が「従来にない新しい技術を導入して、農業再生に取り組んでいく」と話しました。その後、ほ場でドローンの自動飛行や水位センサー、イオン水生成装置「フィールドマイスター」などを視察。別所局長は「少人数で大規模化、そして、品質を確保できる新しい農業に期待している」と話していました。